Nao

沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~のNaoのレビュー・感想・評価

3.8
パントマイムアーティストのマルセル・マルソーが第二次世界大戦下にユダヤ人孤児の命を救ったという実話を元にした作品。

生前、マルセル本人はこの当時のことを語らなかったそうですが、生き証人であったジョルジュという、レジスタンス組織リーダーで彼の従兄弟から聞いた話を元に脚本を書き上げたそう。
戦争中の話なので、テーマが重く、ショッキングなシーンが多いけど、
ただアーティストを夢見る青年が、ユダヤの子供に出会い心を変え、復讐ではなく「一人でも多くの命を助ける」ことを訴え、命をかけて逃走をするという温かい物語。
製作陣のこの歴史への怒り、でも繰り返してはいけないという強い思いとメッセージを感じます。

監督の言葉
「以前は自分が第二次世界大戦についての映画をつくるとは思っていなかった。
ユダヤ人というだけで家族を殺されるなんて理解できなかったからね。
それでもつくると決めた理由はただひとつ、悲劇という背景がありながらも、人生を肯定する物語だからだ」

涙なしでは見れない作品ではあるけれど、
極限状態にありながらも、怒りや憎しみで物事を進めるのではなく、何を考えどう生き、どう行動していくのか、それを考えさせてくれて感動した。
主演のジェシー・アイゼンバーグが、(自身もユダヤ系で母がプロの道化師と主人公と重なるバックグラウンドをもっているそう)
みずみずしく演じていて素晴らしい。
あと、憎きクラウスバルビーをイケメンでカリスマ性を感じるキャストにしているのもリアリティがある気がした。
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