クソサメ映画業界期待の新星、B級好きのためのジャンルパロディサメ映画。子供の頃に書いたサメ映画の脚本がBAD CGIとして現実に表出してしまう。
クソサメ映画は大抵コメディものではあるが、実はここまで本格的にコメディに振れた作品は珍しいのではないか。多くのクソ金字塔たる過去作たちはシチュエーションコメディ、全員が大まじめで如何にも可笑しげな展開は少ないものの観客は笑ってしまう、そういう類いの面白さがあったが、本作は最初から最後まで観客を意識してのコメディ映画として制作されている。
また、しかもそのネタが一部の好事家を狙ったサメパロディとして作られているわりに(だからこそ?)、ゴア表現やエロ表現はかなり抑えめでギリギリ子供に見せてもいいレベルに仕上がっている。サメ映画が好きな人ならおおよそ笑えるけれど、サメ映画を求めて見るモノではないという奇妙な構図なのだ。決して悪くない、むしろ新鮮さはあるものの、いつものクソを求めると肩すかしをくらってしまう。
一応テーマ性あり。ただし、基本的にコメディなので感動や共感は起こりえない、刺身のツマ程度のものだ。総じて最近のサメ映画に慣れてきたサメフリークスのためのサメコメディといったところか。アイデアがよかっただけに、他の見せ方もあったのではないかと少々残念に思ってしまう。