第46作、マドンナは２回目登場の松坂慶子、瀬戸内海小島に戻って療養している元料理屋女将の葉子役。就職面接に落ち続け家出して葉子の家に寄宿した満男の迎えの使者が寅さんで当然一目惚れの恋に発展する定番展開。それより濃密に描かれ心揺すぶるのは満男と看護師亜矢ちゃん（城山美佳子）の恋、老人ばかりしかいない島にやって来て漁や力仕事の手伝いする満男に好感抱き亜矢ちゃんが積極的アプローチ、お弁当作ってやったり手編みのセータープレゼントしたりで恋仲になったのに、満男は寅さん失恋責任も感じて帰路の船に乗る。何も知らずに桟橋に取り残される亜矢ちゃんの落胆した心情思うと泣ける、（オジサンの私には）この物語の一押しハイライトシーン。満男の嫁さんには（後久美の泉ちゃんより）こんな娘が似合いだと応援したくなる親心。最後に新しい彼氏を連れた亜矢ちゃんに旅先寅さんが会う帳尻合わせの演出は致し方なしだが、離島の恋する機会の少ない娘の心情機微が心に響く一編でした。満男のネクタイ替えて願掛けする博のさりげない親心もイイね、どうも親目線で何もかも観てしまうなあ。笠智衆の存在証明を光本幸子がさり気なく代演、さり気なくついでは併映ハマちゃんも通り過ぎてましたね。
