あまがっぱ

マグノリアのあまがっぱのネタバレレビュー・内容・結末

マグノリア(1999年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督はインタビューでカエルが降ってくる意味は観客に委ねると発言しているようなので勝手に意味を持たせるならば
カエルが降る=奇跡
ということだと思う
カエルが降り、登場人物たちの心情や行動が変化して作品が終わる。
カエルが降る前に「それは起こった」というメッセージが出る。その意味を鑑賞当初は「司会者が娘への性的な悪戯をやってた」というネタバラシとだけとしか思わなかったが、カエルが降る意味を奇跡だと仮定してからは、奇跡は現実に起こるという意味にも捉えられるなと。
序盤の山火事の木に突き刺さったダイバーや3人の強盗などの例もまた奇跡的な偶然が起こったということ。
ちょっとポールオースター的な要素だ。そう考えると、ウェインワンとオースターの「スモーク」を連想した。
この世を生きる上で案外難しいのは他者への寛容さ、許し合うこと、ささやかな親切。
アンダーソン監督やオースターは作中に散りばめられた聖書のエッセンスが強く「マグノリア」も「スモーク」もいわゆるキリスト教的な愛を実行する物語だ。

また、一度観ただけでは分析するには感覚的過ぎてよくわからないが、トムクルーズはカエルが降る前に父を許していた。皆一様にカエルのおかげと言うわけではない所で教義的ではないリアリズムが生まれているのだろうか。