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マグノリアのtubure400のレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
4.9
久しぶりに観たけれどやはり素晴らしかった。今回思ったのは、Wes Andersonの初期作と同様、所々陳腐で、それがゆえに素晴らしいということだった。

みんながAimee Mannの「Wise Up」を輪唱するシーンだとか、回収されない黒人少年のラップの伏線だとか、陳腐であったり、投げっぱなしのような所が多々あるけれど、映画全体の熱量に巻き込まれていくような感覚がある。それはより完成度の高い『ファントム・スレッド』や『インヒアレント・ヴァイス』では味わえないもので、なんとなく、90-00年代初頭的な感覚、という印象がある。それはきっと、そういうものなのだろう。テーマのみならず、情緒や感覚というものも、時代とともに変化していくのだろう。Silver JewsのDavid Bermanが「ソウル・ミュージックは変わらないのだろうか?/私達の魂(ソウル)がおかしくなってしまった今」と歌ったように、Human Conditionを描くものであったのだろう映画の役割も、時代とともに変わっていくのなのだろう。

という意味でも、いにしえの映画が魔法に満ちて見えるように、『マグノリア』は古風な映画のように思える。(すでに30年近く前の作品だから、当たり前なのかもしれないけれど)

中心人物に、一人としてまともな人間はいない。
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