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マグノリアのonoのレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
4.6
これは超傑作。
村上春樹『海辺のカフカ』もこの映画にインスパイアされて書かれたってくらい、スリップストリームの群像劇が好きな人間にはたまらない。

同じPTアンダーソンの『ブギーナイツ』が“男根”の映画なら、『マグノリア』は“去勢”の映画。欲にまみれた大人たちに罪の意識が芽生え、ラストで文字通りの天罰が下る。

クイズ番組の長寿司会者、その娘のヤク中、プロデューサーの死にかけヤリチン爺さん、元・天才少年と現・天才少年、敬虔な黒人警官、加藤鷹みたいなセミナー開いてるトム・クルーズ…と、強烈な個性をもったキャラクターたちを徐々に繋ぎ合わせながら、あの天罰の共有へ至らせるというシナリオ、めちゃめちゃ完成度が高い。

個々のシーンの分析とかはじめるとキリがないけど、予想を遥かに超える超大量のカエルが地上に降り注ぐラスト(文字通りの“天罰”)は映画史に残る名シーンだと思う。かなり尺は長いけど、いろんな人に観てほしいイチオシです。
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