戦前から戦後の変遷していく社会を背景として描きつつ佐田&高峰夫妻にフォーカスして展開する物語には結構引き込まれるものの、これだけの長尺のわりには駆け足に感じるところも多い。息子のエピソードなど明らかに描写が足りてない感じでモヤモヤが残る。
ここで描かれるのは状況に強く抗うわけじゃなくむしろその逆な人々で、所謂反戦映画という感じの作りにはなってない。なってないが、引っかかりを残すような台詞はところどころに散りばめられている。戦時中に「陸軍」を撮った木下監督だからってのもあるが、このへん感じ入るものはあった。