Omizu

サーカス・オブ・ブックスのOmizuのレビュー・感想・評価

サーカス・オブ・ブックス(2019年製作の映画)
3.4
アメリカゲイ界で最も有名なポルノ書店である「サーカス・オブ・ブックス」を経営する夫婦を撮ったドキュメンタリー。

保守派によるポルノの弾圧、エイズの流行とその偏見と厳しい時代を「傍観者」として眺めてきた夫婦がまずすごい。

あくまで仕事としてゲイ界と付き合ってきたとはいえ、その仕事で同性愛者と働いたりしなければ、いざ息子がゲイとカミングアウトされてから受け入れることはできなかったと思う。

もちろんカミングアウトされて何の抵抗もなく受け入れた父バリーは素晴らしいけど、自らの偏見としっかり向き合って「ゲイの息子が誇り」とまで言える母ヘレンもすごいと思う。

多くの人がエイズで亡くなったということや、大抵の親は顔も見に来なかったという話は悲しすぎた。

監督は娘、撮影対象はその家族と従業員のみの極めてパーソナルなはずなのに、アメリカの同性愛者の過酷な歴史、そして親としてどう向き合うべきか、という大きなテーマへの広がってゆく見事な作品だった。
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