アラシサン弐

TITANE/チタンのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.7
化け物。

冒頭10分くらいで既に喰らいつくのに必死になるのに、その後もあまりに突拍子もない出来事が次々に起こる上に、一度見たら瞼から離れないような強烈な映像が連打されるから、飽きないどころか脳ミソの容量が足りなかった。

全体を通して解釈が人によって分かれそうだけど、
個人的には、人がこれまでの人生から新しい人生を歩みだすまでの生まれ変わりを追った話なのかなと思ってる。

思い返すと行動原理も精神状況もよく分からず、見た目も女性か男性か、何なら最後の方には性別すらも分からない異形の主人公の結末になんとなく優しい気持ちになってしまうのは、少し変わった人が母性や父性に触れて生まれ変わる、っていう展開が普遍的でいて深い愛情に溢れてるからかなと感じてる

あとこの監督、相変わらず人を傷つける描写がとことん凝っていて、見たことない角度からバイオレンスを放り込んでくるのだけど、この人にかかればそれらの「痛み」はアートにもユーモアにもなる。
対外的にも内臓的にも直視するのが躊躇われるようなシーンもどこかフザケたようなシュールさがある。
乳首の件とかめちゃくちゃ笑っちゃった。

このヤンチャな映画がカンヌで最高賞取ったのは、コロナで色んな価値観がリセットしてしまったように、ポリコネやコンプライアンスの押し売りで散らかってしまった評価基準を一度壊して、新陳代謝のようなことが起きたのかなとも思った。

劇場入場時に車とセックスするシーンのステッカー貰えた。
アラシサン弐

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