狂気的、それでいて美しい。
グロテスク、それなのに美しい。
美しいという言葉だけじゃしっくりこないが、個人的にあらゆるものに美しさを求めてしまう。『RAW』に続き、本作も観てられないほど常軌を逸した映像、内容だが観ずにはいられない中毒性がある。それは美しさとのバランスがいいからだと思う。
ジュリア監督の作品をは映像作品として、非常に完成度が高い。ダークファンタジーをこんなにもリアルに映像化できているのも、コンセプトやヴィジョンのイメージを明確に持っているからだろう。
車と性行したことにより、何かを孕ったアレクシアは、性欲と連動して相手を殺してしまう殺人鬼でもあり、警察から逃げるために行方不明になっていたアドリアンという男になりすます。
息子を失った悲しみからか真偽を確かめずヴィンセントはアレクシアを受け入れる。
内容はショッキングだが、人を受け入れるとはどういうことなのか、愛とはどういう状況で感じるのか、アレクシアのヴィンセントへの最後の言葉で締められる。