雨の中、人目を気にしながらひとりの女は赤ちゃんポストの前に赤ちゃんをそっと置いて立ち去る。
その赤ちゃんはブローカーによって、違法な売買取引にかけられる。
表面だけ見れば、人身売買というあってはならない犯罪行為だが、ブローカーたちの生い立ちやそれを追う警察の過去などが、とても巧みに繊細に、そして時にブラックユーモアも加えながら交錯していき、綺麗な音楽と映像とともに物語化されているいい作品。
シリアスな内容だが、個人的には程よいバランスで事の深刻さとエンターテイメントを掛け合わせた是枝裕和監督の演出が好きだった。
家族のカタチについて様々な作品を作られているが、今回も他人同士が家族と呼んでもいい人間の繋がりになっていく様子が、ウソンの存在によって描かれており、様々な立場の人間がなんの罪もない純粋無垢なウソンを抱っこすることで交わっているような印象を受け、非常にグッときた。
ソジンの立ち位置が非常に物語の展開に効いていていいシーンのきっかけになっていたなぁ。ソジンとウソンの関係も素敵だった。