リョーシ

TITANE/チタンのリョーシのネタバレレビュー・内容・結末

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これはとんでもないものを観た。「何だ!!何なんだ!!!俺はいったい何を観せられているんだ!!!!」と思いながらも、自分の中には確実に"感動"が芽生えている感触がありました。もちろん映像として、強烈なゴア描写とデヴィッド・クローネンバーグの影響を感じさせるボディ・ホラー的な要素で、その強度への感動もありました(しかも、その表現というのが見事なまでに観るものに不安や不快を植え付ける撮り方で拍手)。でも、その"感動"の多くを占めるのは美しいものを観た時のそれで。この映画は驚くほどまっすぐに"愛"を描いた作品だった。


アレクシアは行方不明のアドリアンを装ってヴァンサンと共に暮らすことになるわけだけど、実は正体がバレるかどうかは重要じゃなくて。時に愛は性別も境遇も血の繋がりすらも超越するほどのパワーを持っているんだなと。

観終わった後に新宿を歩きながらふと思い浮かんだのはケン・ローチ監督の"夜空に星のあるように"のポスターに書かれていた台詞だった。
「彼は、私のために、花束を盗んでくれた。」
もちろん盗みという行為を肯定するつもりはこれっぽっちも無いけど、この台詞にも様々なものを超越した愛を感じたからかなぁとかボンヤリ考えてました。

音楽はブランドン・クローネンバーグの"ポゼッサー"と同じジム・ウィリアムズというのも興味深かったです。
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