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TITANE/チタンのhiのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.2
ジュリア・デュクルノー監督長編二作目。
「raw」
に引き続き、女性の物語"性"を中心に、
今回は"出産"という身体の変化を軸に描かれます。しかし、今回はダブル主演といいますか、対になる男性もでてくることにより、女性性と男性性のぶつかり合い、"性"と"生"の剥き出し、"老"そして"出産" 2つの歪な親子の関係、はたまたそれは男女の愛なのか?複雑な関係が交差し、絵的なグロテスクさをしのぐ、歪な人間関係を描いています。

目を覆うような、痛い、痛いぞ!な、惨殺シーンの連続で、途中退出する観客も何人か居たので、全員にオススメできるわけではないぶっ飛びゲテモノ映画であることは間違いなく、スパイクジョーンズ、これにパルムドールあげちゃったの?
とは思いますが、この受賞は伊達じゃない◎多分!
 

まだ観てない方は、是非ネタバレ無しでご鑑賞ください。


〜以下ネタバレ感想〜

話しの内容だけいうと
事故により頭に金属板を埋め込まれ、車に欲情するようになり、性的関係を求めてくる相手を惨殺していく(特に理由はない)そして彼女は知らぬ間に車の子供を妊娠する、(完全にB級ホラー設定じゃん)
初老の男性の生き別れた息子のフリをして家族のふりをすることに、、、しかし、腹はどんどん大きくなり、最後は崇高な出産シーンで、通じ合う2人、、、まるでキリスト誕生のような感動シーンで幕を閉じるのです。

観賞後はなんじゃこりゃ、でしたね。。。

今時の映画の、複雑な設定による付箋回収だとか、これが暗になにを意味するとか、こんな生い立ちだからサイコパスになりましたとか、、正義だ悪だとか、、、そーゆー常識全部の吹っ飛ばして、ホラーっていう名の下に全部なんだかよくわからないま突き通す(笑) けど、性と生については、ある意味、完全に描き切ってるようにも思いました。最後2人が手を取り合うシーンは滑稽でありながらも、美しく、本当に通じ合った瞬間なのですから。。

そう、これは
常識を超えた愛の話。
人が人に執着することは時に気持ち悪さと滑稽さが伴い、他人には理解できないものであり、たとえそれが、始まりは嘘だとしても、成立してしまうのかもしれない。愛は清廉潔白で美しい、なんて私たちに刷り込まれた幻想だよな、、、と、切に思いました。

元奥さんがでてきたときに、一番的を得てる人間だとおもった。
’あんたが誰だか知らないけど最後まで面倒みなさいよ'


変な映画ですが、アレクシア役のアガト・ルセルのダンスシーンのかっこよさがずば抜けていて、セクシーを通り越して、ほんとに欲情している女の変態性と美しさと艶かしさと危うさが混在してて、この映画の説得力と映画らしさを支えているとおもいました。

デュクルノー監督、こんなえげつない内容のホラー映画なのに、フランス人的な美的感覚も併せ持っていて、全体的に全く下品じゃない。←これ大事 女性監督ならではの生々しさと暗さの中にある湿度の高さを感じる映像が、グリム童話的な陰湿な映像美を感じられて個人的には結構好きでした。

昨今のフェミニズム関係の映画から完全に頭ひとつ抜きでた独創性あふれる女性ならではの映画だったと思います。

👏👏👏
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