Yukinobe

TITANE/チタンのYukinobeのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.5
もう、なにがなんだかわからない。悪い意味ではなくそう言えてしまう映画でした。

そもそも、僕は勉強不足が故、監督のジュリア・デュクルノー監督の衝撃のデビュー作「RAW 少女のめざめ』を未鑑賞です。
その上で、ポスタービジュアルに惹かれたことと、パルムドール、そしてネタバレのない皆さんのレビューで興味を惹かれたので観に行きました。なので、ある程度覚悟はしていたんですね。でも、冒頭の感想を持ちました。
なにがなんだかわからない!

でも、思っていたより物語がないわけではなかったですね。流れはきちんとありましたし、比較的わかりやすかったです。ただ、説明を極力省き、映像をメインとした描写で描き切ろうとしている印象を受けました。

丁寧に説明をする映画が多くなってきている&それに慣れているので、全然訳がわからない!と頭を抱えてしまうんですけど、意外とそうでもないんですよね、多分。
愛に飢えたが故の行動、愛を軽く考えるからこその衝動、愛を深く知ったからこその結論と、結構わかりやすい。混乱するのは、オイルの血とか、謎の妊娠とか、いきなりの殺人とか、無理だろと突っ込みたくなる他人の息子になりきることとか、そういう流れが特に説明もなくどっと押し寄せてくるからです。え?なに?どうして?の連続だから混乱しちゃいます。おまけに、これ、物語の流れだけでいっちゃうと、一歩間違えばコメディです。それも、だいぶ軽い。それをこれほど重厚な、どこか大事なことを訴えていると思ちゃう映画に昇華するのって、ものすごい技量な気がしました。

ただ、なんでしょう、それでも「凄いものを見た!」感がそこまでなかったんですよね。そういう意味で、もっと何かが欲しかった、と思いました。具体的に何が、と言えないのが難しいところですが。
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