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TITANE/チタンのtsuraのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.0
カンヌ国際映画祭で賛否大きく意見を分けた本作。鈍器で殴られた様な衝撃。いや、そんな甘ったるいレベルの作品ではなくちょっとした覚悟が必要である。
想像を絶するとはまさに今作の様な作品に相応しい。

上述の通り、センセーショナルな作風ゆえに賛否あるが、それも包括してしまうくらいエネルギーは満ちていた。語りたいメッセージは以外とシンプルだから凡庸と言えば凡庸。(でもそこが語るべき部分とも思うが)

だけど持ち合わせたエネルギーの側面を評価の対象とできるならこれは圧倒的な傑作だろう。少なくとも先駆者からのエッセンスは上手く花開いた印象にある。


幼き頃の車から感じとる繋がりが発端で交通事故にあった為、体に埋め込まれたチタンと密接な間柄となるアレクシア。大人になり、彼女は矢張り車へのリビドーは抑えきれない。ある事件を発端に車との性行為に至ってから話の歯車が思いもよらぬ道へと向かう。凡人には想像出来ない領域、エクスタシーはクローネンバーグ風味ではあるが「プロミシング・ヤング・ウーマン」然りのマチズモ的思考への回答を終始作品に与え続け、未だにミソジニー或いは性的搾取を平然と垂らす男への痛みが伴う…しかし理解を求める声の変容だった。

女性の声、と簡単には書けるが、映画の中でも描かれる様な痛みなどはまだまだ掻き消されてる様に現実社会でも感じる。

この映画のサイコな部分だけがフォーカスされがちだが、アレクシアが抱える孤独や虚無感、逆に得た不思議な居場所や温もり。

この映画は、上で示唆した問題に対して語られる作品であって欲しい。

単にショッキングで片付けるには勿体ない。
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