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TITANE/チタンのmatchypotterのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.6
なんかちょっと前から妙に惹かれるモノがあって。
でも、言うほどこの作品が何なのか、よくわかってなくて。

そしたらなかなかスゴいモノがあった。
スゴいけど、スタイリッシュでメロコアな音楽があってカッコ良さもあった。さすがフランスとベルギーの映画。

幼い時の交通事故で、頭に“チタン”のプレートを埋め込まれた女性が主人公。

その事故以来成長した女性は何やら車にご執心。
そして、どう言うわけか衝動的な狂気を持ち合わせるようになる。

その狂気がついに解き放たれ、自ら周りに手を下し始める。
その狂気と犯した罪と、“自分の体の異変”に気付き、そこから行くアテもなく逃げ出す。

その逃げ出した先で警察に保護されると、なぜか見知らぬおっさんが身元を引き受け、謎の共同生活が始まる、、、どうやらこのおっさんは彼女を自分の息子だと思っているらしい。

彼女は自分の素性と“女”であることと“自分の体の異変”を隠しながら居候し始める。

この消防士のおっさんもなにやら“ワケあり”。
彼女に息子を追い求めるも、どうやらすでに息子は、、、。
消防士というプレッシャーに押しつぶされ、老いとも戦い、何かを見失い、行き場のないおっさん。

どちらも何かが欠落してしまっている。
頭に金属を埋められ、どこかがおかしくなっていく女性。
過去の出来事に囚われ、彼女にそれを追い求めるもおっさん。

この2人が徐々に言葉ではないところで心を通わせ合う。

もっとアクション色が強く、動きが激しい映画かと思った。

そしたら、全然違う衝撃が襲ってくる映画。
この女性の見た目も、おっさんの様相も。
徐々に徐々に不気味さを増していく。ホラーとスリラーの間というか。

この“自分の体の異変”が少しずつ少しずつ自分ではどうにもならなくなっていく感じ。それと複雑な心境で向き合う様。

最初から手放しでやたらと面倒を見てくるおっさん。

この2人が迎えるラスト、、、衝撃。
“それ”が一体どうなるのか、最後はもう目が釘付け。その現場から目が離せない。

金属を埋め込まれた女性が、狂気の果てにそこから予期せぬ“何か”を拾う。そこから、さらに狂っていく。

一方で何かを失ったおっさんも、何かを拾ったつもりでお門違いな面倒を見る。それがやがて、不気味に花開いていく。

お互いが終わりかけてるその先に。終わりかけてる同士で拾った“何か”にすがり、肩寄せあった結果のラスト、、、衝撃。インパクト、スゴい。

と色々書くけど、何と言えばちゃんと伝わるか、この画面から伝わってくる“何か”を的確に表現できる言葉を持ち合わせていないことが悔しい。
だから、観てなければ観てほしい。

結構パンチの効いたシーンやセンセーショナルな描写も多いが、クドクドそこばかりにこだわり過ぎず切れ味よく次から次にサクサク進む。
それが色んな意味で“救い”かも知れない。


F:1889
M:8925
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