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TITANE/チタンのtilyokujinのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.6
クローネンバーグよりももっと現代的なメッセージ性があった。前作rawでは思春期に起きる変容や目覚め等を姉の中指を食べるカニバリズムと結びつけて、今回はジェンダー制約からの解放として男性女性ではない何か、無機物との融合を車とセックスするボディーホラーで描いた。
そのスケールや人類進歩の広がりを感じさせる作家性で次回作が楽しみな監督

でも実は「愛」を大々的に映している気がして、後半のマッチョ消防士(義理父)との出逢い以降涙出た。SFっぽいTITANE人間の人間性は何も変わっていなく、愛を求めて無機物や安心できるところを探していた。そしてラストはお義父さんが何者とも定義できないアレクシアと愛を共有し合えたことで(恋愛的でも親子的でもない愛?)生まれ変わった。こう考えればハッピーエンドだが、出産によって死んでしまったアレクシアが可哀想とも読み取れる。冒頭から暴力的なシーンが目立つけども何よりも痛々しく描かれていたのが出産であり、流産しようとしていた点からも女性の体として生きる現実を突きつけられていた。車もゴム栓等して頂きたい。
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