ほのか

オールド・ガードのほのかのレビュー・感想・評価

オールド・ガード(2020年製作の映画)
4.9
オールドガードを浴びたオタク、生きてる………?????
わたしはもう虫の息だよ……………



900年をかけて昇華しきった(/てるようにみえてまだまだ底が見えなくもある)関係性をみせつけられたので、2人が2人であるから生まれる関係を主食として生きてるオタクは発狂しました……。
なんや…なんやこれ…すごすぎる……。
こういうとき、とりあえず一旦関係性を矢印と言葉で整理するんやけど、愛以上の言葉の創造はよ!!!ってやきもきして筆を置いた。
この900年の時を経て培われる、たったひとりの人へとそそぎ続ける濃すぎるほどの感情の名前を、長く見積もってもあと70年ほどで見つけなければならないのか。そう思うと人生は短いし、無理難題すぎて絶望感がすごい。

ブロマンスやロマンシスも「友情以上恋愛未満」だと表現するのに違和感を感じるよ、これみてると。友情と恋愛に上下はないし、人と人の関係をわざわざ定義づける必要もない。言葉に表していた時間はたった数分にも至らなかったかもしれないけれど、あの場面であの場にいるひと全員に突きつける、ニッキーへの感情を表す言葉、何度も何度も噛み締めて生きたいし、わたしのすきなものの指針として真ん中に鎮座していてほしい。

あかん、もうみんながみんなそれぞれに対してクソデカ感情抱いてるやん、これ。ひとに過干渉できない分、成り行きとも運命とも道連れともとれるこの名もなき協力関係に自分を置かざるを得ないことは、帰る場所があるという拠り所であり、孤独を逃れられた安心であり、だけど一方で永遠に孤独であることをかみしめる要因であり、違和感や考えの相違があってもそこに帰り続けなければならない(帰らないを選択してもどう在るか必ずバレてる関係)という枷でもあるんやね…ウッ…つらい…
ブッカーくんのことはまだしばらくそっとしておいてあげたいのでなにも触れられない…ブッカーくん…ブッカーくん………こんなん当たり前に泣いてしまうよ…
アンディとクイン、アンディとナインのことも考え始めるとめちゃくちゃぐるぐるする。ぐるぐる考えられる人間関係だいすき!ぐるぐるしすぎて私の心はぐちゃぐちゃよ!


とにかく半分のところからぐずぐずに泣き通しで、最後が怖くて怖くてたまらんかった。すきな作品ほど最後が怖くなる。
また大切な映画に出会ってしまったよ…。
最後を迎えるのが怖くて、見返すのが怖い映画は、それ即ちわたしの宝物です。







⚠️ネタバレ注意

なんやかんや毎日映画を観ては幻覚を見てる。
ぽちぽち幻覚呟いてたのまとめ。



・本当に死なないだけなんよな…………それがどれほどのことか考えても考えてもつらいことしかわからん。しかも、"今回は"死ななかった、だけなんがなぁ…。
・死なないだけであとは全部人間のままでほんまによかったなと思う。主に痛覚の話ですが、痛覚を伴う/伴わないじゃ戦い方が天と地ほど違うと思うんよね(素人目なのでフィクションです)。
痛みがわからないと加減がわからないだろうし、何が効くかもわからない。自分を犠牲にするだけの戦いになってたかもしれないなあと思う。痛みを知ってるからこそ自分が不死でなくなった時にも使える加減と戦い方が染み付いてたし、突然のそれも乗り越えられたんだと思う。
・再会からの賭けの時、あんだけキャッキャしてたからたぶんいつもなんの憂いもない時はあんな感じやと思うにの、ナイルが来た途端食事がお通夜になるの、おもろい。ナイルちゃんに気を使わせてんじゃないよ。
ニッキーは目があった瞬間ちょっと口角上がるし、ジョーは君はどんなひと?って言いたげなわくわくを含んだ表情をしてんのに、ブッカーくんはナイルに目を遣りながらもすぐ視線泳いでるからな!!ほんと、あんたすぐ視線に不安が出るんだから!!!
・クインの話のあと、アンディとナイルが出てってさ、3人はそのまましんみりモードに入るかと思ったら、なんもなかったかのようにサッカー観てたジョーとブッカーくんはあまりにも切り替え上手すぎんか???さっきまで泣きそうな顔してたやん?!?!どうあってもあの話題は気が滅入るから、それでも待つしかないこの時間をなんとか過ごすためにわざとサッカーで気を散らそうとしてたなら……………ア---------
・「関係ないから」ってすごく突き放してるように見えて、すごく適切な距離を表す言葉なの、すき。知ってる知らない関係なく、人は助け合い、協力し合い、それが連鎖して繋がって生きる生き物。だから決して孤独じゃない。
・最後の協議のシーンのパブ、Prospect of Whitbyだと思う。テムズ川沿いのパブ(違うかったらすみません)。ここ、キャプテンキッドをはじめ、様々な海賊たちの処刑場となったパブらしい…そんな場所で処罰の内容を話し合ったり、「死刑にはできない」って自虐したりすんの…?ウッウッ
・死が悲しみにも救いにもならない物語にハマると生きることにしか救済を求めなくなっていい。いいな、これ。




・全てに意味があるというニッキーと、全てに意味がないというアンディの対比よなぁ〜〜〜
ニッキーがそう信じ続けて言い続けたことにアンディはたくさん反発もしたし裏切りも感じただろうけど、最終的には納得できる彼女が求め続けてた答えだったよなぁ。ニッキーの人徳でもあり粘り勝ちでもあるな。
・運転がアンディの役目なん、「私が馬に乗って過ごしてきた年数は君達の何千倍にも及ぶ」とか自信満々に言うの聞いたニッキーとジョーが「そしたらアンディが向いてるかぁ」って言い出すからブッカーくんが馬は関係なくね?って言えなくなっちゃたからなんでしょ?
・バクラヴァどこでたべられるん??????見当もつかん



・よく考えずともニッキーとジョーという最強にブッカーくんを添える原作者鬼すぎん??
・1番歳が近いニッキーとジョーより700歳ほど年下なのに見た目は10歳ほど年上のブッカーくんに未だに混乱する
・突入したところで殺された時の話ね、ブッカーくんのお顔から弾丸が出てくる所、治る描写が辛い。この身体でいることが苦しくて、不死を終わらせたいの気持ちに苛まれながらも身体は常に治り続ける、気持ちと身体が真反対に進み続ける、その矛盾で間違った引き金を引いたんな…
・結果として3人を傷つけることになってしまったし、体への傷も信頼への大きな傷も覚悟の上だったとはいえ、傷つけることが彼の第一の目的ではなかったことをどうしても大事に抱えてしまう。泣きながらこれをみて、これをみてってしてしまう。ニッキーとジョーが隣にいることで際立つ自分の孤独に耐えきれなかったことが大きくて、それは200年連れ添った仲間を裏切ってしまうほどのことだったんだろうけど、アンディのためという気持ちも大きかったのは疑いようがない。私がブッカーくんのことがどうしてもすきだという色目を抜いても絶対そう。
・いや、でも、さ、と、いうか、ブッカーくんは、自分を差し出すだけで、済んだの、では??????? ???? ????????オイ 聞いてんのか???おい!!!!!!!!
やっぱりジョーとニッキーのことちょっと憎かってんな…と今更ながら。
・仕事着を埋めるとき穴を掘るのはブッカーくんの役目だし、パソコン関係は全てブッカーくんの役目だし、仕事関係の情報を集めるのもブッカーくんの仕事だし、かと思ったら現場にも突入するし、全部得意なことではあるんだけど、3人にとってはとにかくめんどくさいこと全部押し付けられてるの可愛い。win-winだねぇ。
・仕事の内容を調べたり取引をしたり取引相手やターゲットのことを調べたりするのはブッカーくんの役目だったのに、ポット出のコプリー(とそれを継いだひと)にその座を取られてることに、100年後気づくブッカーくんが泡吹いて倒れてる。
・200年経ってもまだその気持ちで泣いちゃうブッカーくん、ほんとにほんとにその罪の意識を背負い直さなくていいんだよ…っておもう…難しいかもしれないけどしあわせであってほしい…おねがい…仲間といても笑ってても虚しさを内包してるようにみえるんよ。くるしい。
・ブッカーくんは、不死と言っても1770年生まれでまだ250歳のバブちゃんなので、100年後まで孤独な!って言われたら寂しさで酒に呑まれて6ヶ月でぐでぐでのでろでろになる。可哀想だけど可愛くて仕方ないよな、こういうところ。ブッカーくんとウィスキーはズッ友だょ…
・不死の力がどこまで身体を健康に保つ力を持ってるかわからないんやけど、もしお酒に酔うこともなくなるとしたら、ブッカーくんがめちゃくちゃ下戸な可能性がある。
・250年しか生きてないのにこの先100年も孤独なん、そりゃもうめちゃくちゃ長く感じてまうくない?!可哀想に…。
・生き返って真っ赤な顔で痛みに耐えるブッカーほんとにほんとにかわいい…赤ちゃんだから………
・合図?みればわかるよ、それは合図じゃないよ、合図を待て、って頑なにそれしか言わないブッカーくんはかわいい
・寝てる時いつも手が可愛いブッカーくんの話しましたっけ??
・ブッカーくんはいつも狭そうなところで寝てる。シングルベッドの2/3あればよゆうで寝れちゃいそう。187cmも身長あるのに…。首の角度がしんどそうで、手はいつも可愛い。
・車覗いて、え、どうしよう、えっ、この高さ?大丈夫か?ってキョロキョロソワソワしてるブッカーくん、ほんと、なに?なんだこの250歳…
・英語字幕で観てて、"That woman has forgotten more ways to kill than entire armies will ever learn."の意味がわからんかったんやけど、「そこらの兵士が学ぶよりも多くの殺し方を忘れてきた女だぞ」なん調べてわかった。ここまで遠回しな言い方日本語じゃせんからわからんわ、こんなん…
・6ヶ月後のシーンで気づいてしまった話ししていいですか???椅子2個置いてんの、泣かすなや……………………………誰がそこに座んねん………………



・観る前、ジョーとニッキーはgiogioのジェラートとソルベみたいな感じかな?と思ってたん、あながち間違いじゃなかったと思う
・ジョーとニッキーは常に宇宙誕生規模の愛を爆裂させながら生きてるのに、それは彼らの生き方であるだけで、愛に生きることが人類の全てだとは口が裂けても言わないところが本当に好き。自分は自分、他人は他人の距離間は絶対に間違わない。
・夢に出てくるが、恋のはじまりなんはどの時代もどんなひとも共通だな…っておもう、な…ジョーとニッキーよ…
・ジョーに対してのニッキーも、ニッキーに対してのジョーも恋人なんてそんな小さな枠には当てはまらない、"彼は僕の全て"があまりにそれしかないなと全力で頷いてしまう関係。
・このふたりがお互いを憎み合い、何度も殺し合い、疑問を持ち、言葉と思考を交わし、受け入れ、運命と愛を認識し、想い合うこと。このふたりの愛の表現はこれまでのすべての積み重ねの上にあり、精査された純だなぁ。
・愛とは本来悲観された物語によって際立つものではなく、お互いを思いやることによって際立つものだということを改めて思い知らされた。つい忘れがちになってしまうんよね、前者の方が作る側も受け取る側も楽だから。でも後者の方が常だしそうあって然るべきなんよ、それが例え物語上であったとしても。
・仕事中も、誘拐されてる道中も、拘束されてる時も、どれだけ危険な目にあっても、恐ろしい目にあっても、彼らがお互いを想い合う点においては悲観的な描写は一切なかったのがすごいよ、すごいんよ
・ジョーがめった刺しにされた時も然り、ニッキーが撃たれた時も然り、多分その光景はお互い何万回と見ているはずなのに、相も変わらず危害を受けてない側の血が一瞬にして沸騰するような空気にガラッと変わるの、もう凄い…このふたりは…"凄い"としか、言い表せない…
恐ろしいのは死であり、別れであり、孤独でもあるけれど、死に躊躇いもなく飛び込む彼らは別れを1番恐れるのではないでしょうか。別れた後のことはきっと想像することすら恐ろしいことなんだろうな…。理解ってることは受け入れられてることかというとそうではないんだよ、の話。
・こんな生活をしてて死にまつわる約束をすることは虚しさを伴うけれど、どうしても、なにがあっても、運命に逆らうことになったとしても、最後は自分の手で死んでほしいと願ってるニッキーとジョーはきっといる。
・アラジンの時、ジャファーの声やわこすぎるってのを見たな、そういえば。あのマーワンさんのやわこい声で、聞いた瞬間染み渡りそして突き刺さるあのレジェンド告白を謳うんですから、それはもう何回見ても泣けますよ。
・「暗闇の中の月の光で吹雪の中の炎だ」セリフのところ、ちょうどニッキーが映ってるんやけど、徐々に視線が上がってだんだん目に光が入るのが、至極、至極いいな…………
・あんな世紀に残る告白を残した次の瞬間に殺戮するんですから、兵士の皆さんお気の毒に…ですわ。彼らに200年付き合ったブッカーくんですらやれやれですよ。
・不死身だ!って気付いてからも戦うことをやめないのはある意味死を求めてると思う。"不死身"ではなく"死"を求められるから不死身になったんじゃないかな。ニッキーとジョーだって戦わない死と無縁の生活を送れば文字通り永遠にふたりで過ごせるわけですし。
・別れを恐れてその瞬間になり得る時を目にするたびに取り乱してしまうのに、それでも死を招くことをやめないニッキーとジョー本当になんなの?!?!2人で永遠に過ごすことよりも2人でいつ終わるかわからない命を消費するという博打打ちを選ぶニッキーとジョーなんなの!!!?!?!?!
・ジョーとニッキーは怒ることは一緒やけど、ブチギレる点は違ってそうやな。お互いどういうことが1番の地雷かはよく理解してる。そのフォローの仕方も熟知してるとおもう。
装甲車の中で「彼氏か?(笑)」って言われて身体的疲労に加えて心的疲労を浴びせられて呆れてものも言えなくなるニッキーに対してincredible romanticな告白しちゃうジョーと、その後「人を見る目がなかったのかな」ってコプリーを煽るニッキーと「いい飛行機だね!」って言うジョー
そんでジョーが唯一めちゃくちゃに怒鳴るシーンですよね…それを(この時のニッキーの感情がどっちに振れてたとしても)冷静にとめるニッキー。お互いがお互いのガソリンでもありブレーキでもあると思うんよな、すごいね
・座る位置が
Joe Andy Nicky
Nile Booker
なんおもろい。ジョーとニッキーはたぶん隣にいることよりも顔が見えてることの方が大事。
・ガスされたときに、ナイルとブッカーがジョーとニッキーよりも立ち上がるのがはやかったのはやはり900年/700年の差でしょうか。ただ単に重症度だといいな…。
・ブッカーくんの悪事を聞いたジョーが怒り狂ってる時、ニッキーが何も言わない所、「全てに意味がある」の言葉をこの場面でも通すなら過程と通りを考えてその先をみてると思うし、その言葉を覆すほどジョーを危険な目にあわせたことを怒ってたけどとりあえず話聞こうって思ってた説も捨てきれん
・クインの夢見て話聞いて耐えきれなくて出て行くナインを追うアンディ、の後ろにニッキーも追おうとしてるの、ほんと、このひとは…、優しさの権化だなぁ…
・突入で「遅かったか?」「女の子たちは?」って疑うことよりも信じることを優先するニッキーよ……ほんま…な…?
・ニッキーの"優しさ"は、人を受け入れる(または許す)ということではなくて、人を想うという点においてに尽きるな。揺るがない自分の確固たる意志があり、その上で人に寄り添う余裕があることが凄いんだ。
・あんなに大真面目な顔で「運命だよ」っていうニッキーについてもう100回ぐらいは考えてるけど、どう考えても900年という時を経て、"運命"が運命という言葉のもつ意味を越えた…という結論しか出てこないな。
・マルタ島のお話しするところめっちゃすき。そこでもこうやってふたり、ビーチで寝そべり喋って冗談言って笑ったり寝たり寝顔を眺めたりキスして愛しみ合ったりする日々を飽きるまで過ごしたんだろうなぁ
・激しい戦闘が終わった時や危険な仕事の一息つく合間に、毎度呼吸をするようにこれ終わったらいくバカンスの場所を決めてるジョーとニッキーは、いる。