垂直落下式サミング

トランスフォーマー/ビースト覚醒の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
「いいだろう!」(CV:子安武人)

いいだろう。いいとも。よかろうもん。歯切れのいい肯定、すごく好きな言葉。意味としては、許諾あるいは了承でしかないのに、言い方で内包するニュアンスが変わる。
吐き捨てるように言ういいだろうは、相手を軽んじていたり、そいつの慢心をあらわしていて、強い口調で威勢よく言うときは、おっしゃ任せろ、目にもの見せてやるぜ、みたいな意気込みがあらわれていて、本作では後者のほうの使われ方をしている。
待ち望んだコンボイは、南米ゴリラ。ビースト・トランスフォーマーたちは、どうやって人間に見つからずに地球に隠れていたんだろうってのが疑問だったのだが、マチュ・ピチュもつい最近まで見つかっていなかったからってんで、ロケ地の説得力で強引に納得させにくる。
トランスフォーマーたちは、人間社会には認知されない存在であるため、普段は隠れて行動しているから、表だった作戦には人間側の主人公の協力が必要だってのにも一応は筋が通っていた。
にしても、ロボだとバレちゃうから、擬態として車とかに変形しているって設定だったと思うんだけどな。ミラージュあんな軽はずみに目立っていいの?あんな協調性ないバカは粛清だろ。
ビーストウォーズ組は、ぜんぜん変身しないし、ライノックスは一言も話さないしさ。活躍もあんまなのに、ビーストモードまでメタリックっていう。ぜんぜんダメだね。てんでわかってないよ。
あんなメタリックなゴリラがいるか。元祖ビーストウォーズでは、不時着した惑星のエネルゴンの濃度が高すぎて、金属生命体は外気に触れるだけでダメージを受けるから、船の外では長時間ロボットモードでいられないため、この星の土着の生物の姿を借りましょうってハナシでしたよね?
当方、第一期ビーストウォーズはガチ勢なもんですから、このくらいの前提はスラスラ出てくるオタクです。舐めんな。
てか、第一期だけ好きで、そのあとの続編は大嫌いなのよね。いまだに「メタルス」認めてねーからな。動物からロボになるのがよかったのに、メタルス強化とかいう要素が入ってきたのが最悪だし、善玉と悪玉の少人数のはぐれ部隊同士による牧歌的な小競り合いがよかったのに、あとのほうになると敵も味方も命が軽く死んでいくのが嫌すぎた。
なんであんなことになっちゃったんだろ。声優無法地帯とか言われて、過度に聖域化してんのも意味わかんない。あんなもんスゴくもなんともない。せめて口の動きにはあわせて喋れよバカ。みんな、なんであんなん好きなんだろうね?
せっかく前作『バンブルビー』でヘイリー・スタインフェルドという新しいスターを得たのだから、ユニクロンとかいう巨大災厄なんか出さずに、もう少し小さい規模感でシリーズを続けてほしかったな。
ここんところ10数年で、ブロックバスター大作は、惑星のひとつやふたつ滅ぼすくらいの規模感じゃないと、観にくる客が満足しなくなってしまった。これは、マイケル・ベイやマーベルの生んでしまった功罪。
まあ、いいんじゃないすか。ハリウッドが日本という閉鎖的ガラパゴス市場での人気にあやかるわけもなし、バンブルビーがLLクールJで落ちてくるところすごくよかったし、ほんと「いいだろう」って感じです。ストップザウォー。