Netflix で10話構成のThe Vietnam Warを見終わった翌日に鑑賞。
スパイクリーの凄さ、重苦しいテーマに時代と音楽を重ねて陽気に装う、それこそ奴隷時代の黒人文化を思わせる構成。
あの戦争を通じて生み出された毒を寄せ集めた表現、全編通して毒が強過ぎて、吐き気がするほどの真実味が滲み出す。
被差別者が差別をしない訳ではなく、より強い差別観を持ちえる。自己肯定をするために、誰かを貶める道を選ぶ者も居る。
戦後の一世代入れ替わったベトナムに降り立った、戦争を超えなお富を追い続ける、旧世代の遺物的アメリカン。
黄金を追い求めて争う様は、ベトナム戦争が止まらなかった醜い理由を象徴するかのように激化し、周囲を巻き込んで不要な血を流す。
戦争と一緒で巻き込まれた者達は理由も意味もわからず傷ついているのに、戦士達は勝鬨の声を上げる。
戦争の悲劇と結果から、次の世代が違う道を選ぶことを願い、託して、前世代は去っていく。誇りだけを頼りに、戦争の傷をかきむしる。