風来坊

トンネル 9000メートルの闘いの風来坊のレビュー・感想・評価

3.5
ノルウェーの山を貫く長距離トンネル内で火災が発生。出口なしの過酷な状況の中で、坑内に残された人々は命を救い守るために必死に奮闘するが…。
ノルウェー製の災害パニック映画。

冒頭の「ノルウェーのトンネルには避難出口や通路が少なく、非常時の避難は運転手の自己責任されている」って普通にさらっと表現されてるが、怖すぎでしょう。避難出口や通路が少ない欠陥みたいなトンネルでどうせいっちゅうのとノルウェーのトンネル事情の恐ろしさを感じました。

実際の火災事故に基づくお話だそうですが、色々と大人の事情があるのかどの事故とは言ってくれない…。
ネットで調べてもよく分からず…。2015年のグドヴァンゲントンネルでの火災事故か2016年のマボトンネルでの火災事故なのか?
世界一長いトンネルといえばラルダールトンネルですけど、こちらは今のところ大規模な事故は起きてなかったような。

観ていてスタローンさんの「デイライト」を思いだしました。ただあそこまでの派手さやドラマ性はありません。
地味めで派手さや迫力には欠けますが、交通管制官との緊迫したやり取りなど丁寧な描写は臨場感を増しています。

パニック映画の課題ですが色々な視点から事故を表現するにあたって、登場人物がどうしても多くなってしまいテンポと観づらさが出てしまう。
この映画もご多分に漏れず視点が多すぎて、ちょっとバラついて見えてしまう。

今時、こんな長いトンネルで内部に監視カメラも付いてない杜撰なトンネルってあるのか?盛ってないか?と疑問に思ってしまいました。
それにしては消火器を取ると換気装置が自動で動いたりセンサーが反応したりとハイテクだったりでこの辺は都合が良すぎるような。

娘さんの気持ちも分かるが、おやっさんにもこの先の人生がある訳で…。
言うことを聞かない生意気な若手消防隊員や愚痴ばかりのババアなど、パニック映画に不可欠な賑やかし要因が物語に厚みを持たせています
ただ…親の言うことを聞かな過ぎる娘はちょっとやり過ぎ(笑)

二次災害の危険があるなかでみんな勝手が過ぎるのは過剰演出だなと思うものの、実際にああいう状況になったら冷静ではいられないかもと思うと逆にリアルなのかも知れません。

まさか自分で行った効果のあれが伏線になっているとは…驚きました。
ノルウェーの映画って自然描写が上手くて色味も白味がかっているのが特徴で本作も自然描写が美しいです。
粗さも気になる作品ですが、災害パニック映画として充分楽しめました。

まとめの一言
「誰か言う事を聞いてくれ」
風来坊

風来坊