KUBO

哀愁しんでれらのKUBOのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
5.0
【『哀愁しんでれら』は2度目に小春以外の目線で見ると、初めて見た時とは違う真実が見えてくる! 『哀愁しんでれら』と渡部亮平監督を応援しています!】

今日は待ちに待った渡部亮平監督の初の商業用長編映画デビュー作『哀愁しんでれら』をマスコミ試写にて鑑賞させていただいた。

私と渡部監督との出会いは8年前に遡る。2012年のぴあフィルムフェスティバルで、審査員を務めていた私は、渡部監督の『かしこい狗は、吠えずに笑う』に出会い、インディーズとしては類稀なるオリジナリティと完成度に「映画ファン賞」に選んだ。

その若い監督の才能に惚れ込み、すぐにでも商業映画デビューするのだろうと楽しみに待っていたのだが、彼はその後「脚本家」として活躍。『3月のライオン』などの大作を手がけ、若手脚本家としては順風満帆ながらも、自らメガホンを取るという話はなかなか聞こえてこなかった。

だからこそ、土屋太鳳、田中圭ダブル主演の大作での監督デビューという話を聞いてから「ついにこの日が来たのか!」と、我がことのようにうれしくて仕方がなかったのだ。

さて、この万感の思いを込めて鑑賞した『哀愁しんでれら』。

まず、この危ない作品を、よくぞ配給してくれた、クロックワークスさん!

監督からネタバレ禁止でとお約束しているので、詳しいレヴューはしませんが、

土屋太鳳がオファーを3度断った末に、監督の熱意に応えて出演を承諾したという曰く付きの脚本は、「運動会をやり直せ!」と学校に乗り込み校長に包丁を突きつけて脅したというモンスターペアレンツが逮捕された事件にインスパイアされて渡部監督が書き上げたオリジナル。

先日も帝国劇場の『ローマの休日』で、アン王女役の美しい姿を見せてくれた土屋太鳳にとって、その清純なイメージをかなぐり捨てるのは大きな挑戦だったことだろう。

靴のサイズだけで王子さまと結婚したシンデレラは幸せになれるのか(?)という「幸せに暮らしましたとさ」のその先を描いた「お伽話サスペンス」は、見るもの全ての想定を超えて、とんでもない展開を見せる。

幸せの絶頂から一転、不穏な空気が支配する世界へと引き込まれる演出は『かしこい狗は、吠えずに笑う』とも通底する渡部亮平ワールド! お会いするとわかるが、このかわいい笑顔の若者のどこにこんな危うさが潜んでいるのか? ともかく天才だ!

冒頭「渡部亮平監督作品」とドーンっと出る。新人監督である渡部亮平がこの作品を「名刺代わり」ですよ、と我々映画ファンに言っているようで、この作品への自信の現れと感じた。

評価は思い入れが強いので星5つ。気持ち的に応援しちゃってるので、これ以外付けられません。

公開は来年2月! 日本映画界の新しい才能、監督「渡部亮平」に注目せよ! そして、そのデビュー作『哀愁しんでれら』に刮目せよ!

すごいよ!
KUBO

KUBO