シンデレラ×青ひげのような話…かと思いきや終盤はとんでもない展開に。
期待した通りこの監督のセンスというか意地悪さはとても好み。撮影がとても美しく、海辺のシーンや夕焼け空がとてもキレイに捉えられている。
左耳を触る仕草の持つ意味は『パラサイト』の鼻をつまむ仕草と共通している。というか金持ち、恵まれた者が実は持っている差別意識の表出を描いた物語として全体的に似ているように思う。
「女のコは〜」という限定するようなナレーションは気にならなくもないがそれはあくまでおとぎ話へのカウンターとしての導入であると考えれば。インタビューでも監督はそう言っているし。全体が「幸せになる」ということの寓話であると捉えれば終盤のあり得ない展開も納得がいく。
序盤に友人が言う「幸せになるには夢や願望を全て捨てること」というセリフがキーになっている。
客観的ないい母であること、自分の庶民的視点、娘が「いい子」であることを全てかなぐり捨て、3人だけの「幸せ」にたどり着くというあのラストは一つの寓話としてとても面白い。
ただ難点はそこにたどり着くまでが長いことかな。
新人ばなれした演出に脚本、美しい撮影、ハマったキャストと欠点を補って余りある出来ではないだろうか?