jun

哀愁しんでれらのjunのネタバレレビュー・内容・結末

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

予想していたストーリーとまったく違ったので若干戸惑いました。

児童福祉科で働く小春はある日、シングルファーザーで開業医の大悟と出会う。
人当たりがよく優しい大悟は小春の父親の就活を手助けしたりあらゆる場面で小春の家族の力になってくれる。

そして大悟の一人娘のヒカリも小春を気に入り母親として大歓迎ムード。
小春はわずか1ヶ月で結婚を決意。

友人の「足のサイズしか知らないのに結婚して大丈夫?」と言う言葉の通り全然大丈夫じゃありませんでした。

実は大悟は自分のアトリエに30年分の自分の裸体を描いた自画像を壁びっしり貼り付ける程の自分大好き人間。
そしてヒカリを大事に思うが故なのかモンペな一面も徐々に露呈します。
自分の分身であるヒカリ=自分のものという考えだからきっとそうなるんだろうと感じました。

そしてヒカリ自身もかなりの問題児。
小春がヒカリに「パパには言わないで」と言われたことをあっさり話してしまったことをきっかけに段々小春に対して酷い態度をとるようになります。
お弁当…筆箱…とにかく嘘のオンパレード。厄介な子です。真相は不明ですが友達の来実が窓から転落死しその葬儀でダメだと言っているのに赤い靴を履きたいと駄々をこね、結局周りから非常識な親だと小春が言われたり実の父親にも責められたり…やってられません状態。

我慢の限界に達した小春はついにヒカリに手をあげてしまいそれを知った大悟は案の定ブチギレ。出て行けと言われた小春は泣きすがるヒカリの手を振り解いて家を飛び出しますが結局大悟が後を追い2人はやり直すことになります…

この辺りでもう小春の精神は崩壊していたんでしょうね。
大悟の求める良き母親になろう、ヒカリを全力で守り抜こう、、、
その決意が衝撃の胸糞展開につながります。

来実を突き落とした犯人はヒカリちゃんだ!とクラスメイトに言われもう学校に行きたくないと泣き出したヒカリの為に何かできることはないかと2人は考えます。

ラストシーン。学校の予防接種の担当医になった大悟は傍に看護師でもなんでもない小春を置き淡々と生徒たちに注射します。
注射の中身はインスリンでした。
映画の序盤で小春の父が「インスリンは1ミリℓでも致死量になる」と話していた伏線がここで回収されることになってしまいます。

ヒカリに幸せでいて欲しい。ヒカリを苦しめるものは片っ端から排除する。
歪んだ愛が生んだ悲劇でした。
このなんとも言えない後味の悪さは以前観た「告白」と似ていました。

母親になるための覚悟は必要だけどこの覚悟は違うだろー…
jun

jun