MasterYu

アオラレのMasterYuのレビュー・感想・評価

アオラレ(2020年製作の映画)
3.2
青信号になっても動かない前の車を、激しくクラクションを鳴らしながら追い越したせいで、執拗に狙われることになってしまった女性の話。
昨今、日本で問題になっている「煽り運転」から付けられた邦題なんでしょうけど、10年経ったら何のこっちゃ?とか思われる可能性もありそう(笑)。
原題は「Unhinged」。ヒンジ(蝶番)の外れた、日本的に言えばタガが外れたという感じなんだと思いますが、ラッセル・クロウが演じる男のやっていることを表しているのは原題通りで、「煽り運転」という点だけ取れば、そこまで全体を通した主題ではなかったりします。
ラッセル・クロウの役は名前も出ることなく、ただ「男」として呼ばれるだけで、細かな背景も描かれることなく、ただ世の中に対する恨みつらみが溜まりまくった狂人。
そんな狂人に目をつけられてしまったカレン・ピストリアス演じるレイチェルは不運でしかありませんが、とはいえ彼女も共感できないキャラ設定であるところが本作のポイント。
共感できないキャラ同士の悶着を見せられて不快極まりないわけですけど、そこに面白さがあったりするのではないかと感じます。
あれだけ周囲に被害を出しながら、最後は警察にあっさりと帰っていいとレイチェルが言われる状況は理解に苦しむものの、無駄にダラダラせず、90分という尺に収めているところはよかったと思います。
とりあえず「触らぬ神に祟りなし」。ラッセル・クロウのあの狂気に取り憑かれた顔で迫られたくないし(笑)。
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