mizuki

サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~のmizukiのレビュー・感想・評価

4.3
薬物乱用防止教室では、ダメな理由しか教えてもらえない。誰も教えてくれないけど何かやばくてものすごい魅力があるんだろうな〜とは思ってた。だから依存しちゃうんだもんな。

この映画では、LSDや幻覚きのこの魅力中心に語られていく。まあでもやはり結果論で、笑い話になってよかったねと思うエピソードばかり。薬は本来何年もかけて動物実験や治験で安全性を確保して、どれくらい飲んだらどうなるかのパターン化がされてやっと完成し、それを医師の判断で処方する。神経系に強い作用のある化学物質を医学知識なしに摂取するのは、危険ですよね…。だからバッドに入ったり最悪死んだり。

トリップすることでインスピレーションを得てアーティスト活動に活かしているという人もいる。みな口を揃えて、大地の恵みや、自分が地球・宇宙の一部であることを感じたり、「人生において最も重要なのは愛だ」など本質を知ることができ、人生が変わる、と言う。
うーん、うまく活かせてる人の頭の中はもともと十分クリエイティブで面白いから、面白い妄想になるんだと思うし、科学を勉強すれば人間は分子・原子でできてる→地球・宇宙の一部であるとはわかるし、人生における大事なことは人と関わり続けることで感じられる気がする。全て、薬がなくてもできることであり、薬ひとつでは人生は変わらないのでは。もう気づいていたということに気づいていなかっただけで、答えは既に自分の中にあったんだと思う。気づくきっかけにはなるわけだから、確かに薬物が全く無意味だとは思わないけど。ハイリスクハイリターンあるいはハイリスクローリターン、それってやらない方が無難では…?と思えます、この映画。すごい。

LSDや幻覚きのこを摂取することで、感受性がバカみたいに良くなり、全知全能を得たと感じるんだな〜とインタビューをみて感じたが、感受性が高くなっても受け取る側の脳はイカれてるんだから、やはり薬無しで何か感じて考える方が本質に辿り着く近道だと思う。ぱっと見イカれてるような作品を作るけど、狂ったように正気で考えて考えて得た哲学を持っている(のではないかと思える)人、本当にかっこいいと思う、平沢進、村上龍、村田沙耶香、『ドグラ・マグラ』の夢野久作とか。真実に限りなく近いということだけではなく、ぱっと見イカれてるとポップで面白いということも含めて最高にかっこいい。薬など使わずに狂ったように正気で、いい意味で世界を騙せたら勝ちだよなあ。

エンディングにもあった通り、人生を変えるため!とか人生を薬に託す・頼るのではなく、ただ楽しくなるためとか、リラックスするためとか、医師の指導のもと安全な場所で使うのはアリだなと思う。それができるようにならない限りは、あまりやる意味がないと思う。


サイケなアニメーションが全部可愛かった!
mizuki

mizuki