イタリアの極左テロ組織「赤い旅団」が1978年に起こしたモロ首相誘拐事件をベースにしたマルコ・ベロッキオ監督作品。日本赤軍を彷彿させます。
テロ組織の一員である女性キアラの視点で描かれています。組織はモロ首相を誘拐し、殺害しようとしている。しかし、キアラは首相を殺すことに疑問を抱き始め、モロを逃す幻想を抱き始める。
労働者のためのイデオロギーを掲げたテロ組織は、結局は国民からの支持を得られず、ただの殺人者として扱われてしまう。自暴自棄ともいえる殺害。暴力の無力さを訴えた作品です。演出や映像に知性とセンスを感じました。
キアラ役のマヤ・サンサという女優の純粋な瞳が印象的。首相も知的で穏やかなので、この人なら救いたいと思える。
ピンクフロイドの曲が効果的に使われる。ジョー・ストラマーが赤い旅団のTシャツを着ていたことがあったそうな。