ゆっきー

夜よ、こんにちはのゆっきーのレビュー・感想・評価

夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)
4.9
超絶大傑作。
ラストショットを除いて、主役のマヤ・サンサが不在のシークエンスが無い。この事からベロッキオは観客をマヤの感覚に没入させようとしている事がわかる。その中でマヤの主観ショット(=視る)/視られるのアンバランスさが生じ、それがこの映画の面白さである。
マヤが視られる場面はうろ覚えだが2つくらいしかない。
一つは図書館に通う青年客がマヤを窃視するショットで、それはマヤの主観ショットから場面をまたいで直に編集で繋げられており、観るものを混乱させる。もう一つは監禁された政治家が夜に部屋を抜け出すという明らかにマヤの幻覚のショットであるが、この場面では政治家は逃げずにマヤの寝顔を見つめている。
マヤが自らのグループが監禁したこの政治家にシンパシーどころか父性すら感じているのが画面から伝わるが、ベロッキオはそれをこの寝顔を見つめるワンショットで表現してみせている。
マヤの職場にかかってくる電話はなぜか両親からではなく叔母からである。
またベロッキオはこの映画を父に捧げている。
政治的な映画に見せつつも父性に関して語っていることが良くわかる。
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