レッドキング

あるアスリートの告発のレッドキングのレビュー・感想・評価

あるアスリートの告発(2020年製作の映画)
3.8
オリンピック女子体操選手団のチームドクターが何十年にもわたり選手の児童に性的暴行を働いていたことが発覚。
それだけに止まらず、過去に選手から告発があったにも関わらず隠蔽し続けた米国体操選手連盟の体質も浮き彫りになる。
被害女性たちと弁護士、真実を追求し続けたジャーナリストたちの奮闘を追ったドキュメンタリー。

今月『She said』を鑑賞したばかりですが、映画界とスポーツ界、分野は違えど構造的な問題が非常に似ていることが分かる。
体操の場合、被害対象が低年齢化しているという問題もある。
10代の子どもにとって、そういった行為が「被害である」と認識するのは難しく
ことさらスポーツという特性上、「指導」と「虐待」の境界を分かりづらくする。
指導者が功績を上げているのであればなおさら。

被害を告発した選手に対し、実力と関係なく代表選考から外されたり
告発の記事が出た途端、同様の被害告発が立て続けに起こったりと
まさに『She said』と同じ状況。
被害を受けてきた女性選手たちの勇気を持った告発、正義と真実を求めて取材を続けてきたジャーナリストたちの奮闘が
本作がドキュメンタリー作品であることでよりリアルに伝わります。

日本人にはお馴染み、コマネチ選手の金メダルの獲得が女子体操選手の低年齢化のきっかけになったというのが驚き。
それまでは成人女性選手がメインだったのに対し、コマネチ選手が12歳で初めて金メダルを取ったことで女子児童の体操熱に火がついたことがきっかけらしい。
ところが体重維持や過酷な練習などにより、摂食障害や生理の遅れなど身体への負担は女子児童にとって大きいようです。
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