もの語りたがり屋

いのちの停車場のもの語りたがり屋のレビュー・感想・評価

いのちの停車場(2021年製作の映画)
3.1
命の価値を問いかける

コロナ禍や続く自殺のニュース、超高齢化社会による介護問題…改めて人の命、生きることについて考えさせられる機会が増えている。
そんな現代で命の尊さについて見つめ直すことができる作品。

「命のしまい方」という言葉が出てくるが、死に方を考えるということは生き方を考えるということ。

そんな様々な命との向き合い方をしている人たち、家族が登場する。いろんなケースでの価値観を知ることができる。
ただそれが数多く、それぞれのエピソードを深く描ききれなかった印象で、次々変わる展開に気持ちが追いついていかなかった。命の重さを伝えるためにも、もう少し絞っても良かった気がする。

ラストは観客の判断を問われるテーマが投げかけられ、それをどう受け止めるか続きを与えられるのがこの映画の意義あるところだと思う。

ものまねのシーンはアドリブだったのか、俳優たちの素が垣間見れたようで面白い演出だった。

年齢的に無理をしないでほしいと監督から止められながら、5kg減量して臨んだ田中泯の悲愴感溢れる演技には脱帽。見応えあり。

※完成披露試写会にて鑑賞