さいしゃん

いのちの停車場のさいしゃんのレビュー・感想・評価

いのちの停車場(2021年製作の映画)
4.0
Filmarks試写会にて。
ストーリーは終末医療や在宅医療などについてのため、内容は重く涙が出る作品だった。ただ単に泣けるだけでなく、命の在り方や生と死について自分や家族に置き換えて考えさせられたのが大きかった。「命のしまいかた」「死ぬのって苦しい?」「命は誰のもの」など多くの印象的なセリフがあり、より自分に問われている気がした。ただその答えや選択肢はとても難しく、映画の中での咲和子の気持ちがまさに映していた。医者としての考えや立場と家族としての想いや立場は、必ずしも一致するものではなくそれをどのように超えていくか、もしくは受け入れるのかが深く描かれていた。個人的には命への向き合い方以外にも、誰かの影響を受けて自分自身の考えや行動が変わるというところにも着目できる作品だなと。

そして何よりも豪華キャストであること、そして各々がはまり役であり全員が輝いていたなと。個人的には松坂桃李さんと広瀬すずさんの劇中での存在が好き。そして吉永小百合さんが美し過ぎたのと田中泯さんの圧倒的な役づくりに感動した。

恐らく原作ではもう少し詳細に書かれているのだろうけど、それぞれの患者さんのフォーカスをもっと深掘りしてもよかったのかと。全てを描いていなかったので、物足りなさも感じた。おそらく最後のシーンを観ても、全てを描くというよりは個々の捉え方で想像して下さいって感じなのだろうけど。

生きていく選択肢については日頃から考えられるけど、死に対しての選択肢について考える機会があまりないので、とても良い時間だった。
重い中でとても優しい作品だった。