さすがスターサンズ配給。
そしてさすが藤井監督!
今までの東映のヤクザ映画とは一線を画する視点を持った作品である。
本作はヤクザ映画というフォーマットを纏った社会の不条理を強烈に訴えている。
排除、格差…社会を一回逸脱した者にとって中々レッテルが剥がれない生きにくい時代である。劇中何度も繰り返されるセリフ義理と人情だけ生きていけない。
これは現在のコロナ禍における社会に通じるものが感じとられる。
コロナ警察という名の監視社会、そして劇中にあるSNSにおける同調圧力。
生きにくい時代になったものである。
繰り返しになるが、本作はこの時代の変化を鋭く切り取り表現している。
主演の綾野剛がいい。彼は今やひくて 数多に様々の作品に主演しているが、本作で観る演技は一段違う本気度がスクリーンから感じ取れた。また舘ひろし、尾野真知子等々優れた俳優陣に支えられて作品の質を大いに高めている。
少し気が早いが、今年の優秀作品賞に確実に絡んでくる作品であろう。
ラスト余韻残りすごく良い。
エンディング曲のmillennium paradeも作品にマッチしてまた良い!