あらゆる点で「カッコイイ」映画。カメラワークや照明など技術的な部分から、構成や演出そして演技にいたるまで、非常にギラギラとしたかっこよさがあるし、うっとりするようなカットもありました。不自然なまでのかっこよさというのはヤクザ映画の醍醐味だと思います。
そうした虚構的な描写に感心する一方で、（好みの問題なのかもですが…）過剰にエモーショナルな場面が多いことは気になってしまいました。
主人公が裏社会に居場所を見つけてのし上がって行く過程（ヤクザ、ギャング映画で個人的にはここも醍醐味だと思うのですが）が省略されており、多くの時間で「衰退」の暗い雰囲気が立ち込めているところも好みが分かれそうです。
感傷的な空気で満たされすぎているあまり、ラストも不必要にウエットなものに見えてしまいました。
似たテーマを扱っているものの、淡々とした中に侘しさがにじむ『無頼』とは逆のアプローチのヤクザ映画でした。
