ほそじま

ヤクザと家族 The Familyのほそじまのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
単純に映画として面白い。何を隠そう舘ひろしの「行くとこ、あんのか?ケン坊」は近年稀に見る完璧な父性で理屈抜きに涙したオレ。モラトリアムな青年が空虚な栄華を求めて曲がりなりにも一本筋の通った男になっていく姿に高揚しつつ、この先衰退と破滅の未来しかない虚勢に縋る哀愁。最後まで汚い世界で文字通りゴキブリのように野垂れ死んでいく敗者の人生。不寛容な社会から溢れた不器用な男の滅びに涙流して乾杯するこの種の作品の元祖をジェームズ・ギャグニーの『民衆の敵(1931年)』とするのなら今年で丁度90年、いつまで同じことやってんだよって話なんだけどいつまで経っても映画的な題材として面白いもんは面白い。全く変わらないどころか年々増して社会が不寛容になっていくのは当然だし、かといって心の弱い人間、有無を言わさぬ不幸に苛まれた青年達の受け皿としてこのような組織が残り続けるのも当然。人間が人間である以上全てが正しく犠牲のない世界なんて永遠に来ないのだから、ぜひこれからも社会の安寧の為にそれこそゴキブリのようにしぶとく生き残り続け、分かりやすい一般悪として無責任な正義の糾弾こと人間最大の快楽を満たし続けてくれ。無茶言ってすまんがそれが君達の選んだ(あるいは選ばざるを得なかった)宿命であることご理解いただきたい。よろしく頼む。