チーズマン

ヤクザと家族 The Familyのチーズマンのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.8
思いのほか骨太なヒューマンドラマでした。

昔ながらのヤクザというこでベラベラと喋るような人達じゃないのて、表情で物語るシーンが多く役者の演技が際立ってましたね。
綾野剛や舘ひろし、その他の登場人物達も素晴らしかったです。間違いなくこの作品を引っ張る要因に役者陣の好演があったと思いますね。

特に、何度も出てくる“抱きしめる”というシーンがどれも印象に残りました。
本人の性根の部分がそうでなくても状況がそれを許さずにいわゆる世間の決まりからハミ出したり、過ちを犯してしまったり、そう言った人達を汚らわしいと突っぱねるのではなく一旦抱きしめて受け止めてあげる、それって今の社会ではあまりにも無縁に感じてしまう事も多いのでそこはグッとくるものがありました。


そういえば、アバンタイトルでの舘ひろし演じる柴咲組長が、危ない傷負い野良犬のようなケン坊に向かって「お前…行くとこあんのか?」と、その時の組長の優しい眼差しや声のトーン、べつに直接的に抱きしめた訳じゃないですが言葉で相手の存在や状況を大きく包容してあげていて、まさにこの作品を象徴するような名場面でした。


社会からハミ出したからこそ擬似家族という家庭(居場所)を拠り所とするヤクザという存在から逆に“家族とは”という問いをこちら側に照らし返されるような見応えのある作品でしたね。
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