ヤクザ映画（海外のギャング映画も含む）もわりと好きな部類ですが、この映画を観て、ヤクザ映画も時代劇になりつつあるのかなぁ…とふと思った。
ヤクザという生き方を選んでしまった男の一生を描いているんだけど、時代と共にヤクザの社会的立場が変わっていってしまって、どんどん追い詰められていくというお話。
タイトルは普通のヤクザ映画かなって思えるんだけど、中身はなんていうか悲しい人生を選ばざるを得なかった男の小さな幸せと大きな悲しみを描いていて、ヤクザ社会なんて自分とかけ離れたとこにあるのに、なぜか結構胸にくるものがある。そこに生きている人は自分と同じ人間であることを痛いほど感じる。お世話になった人に感謝したり、兄弟を大事にしたり、恋をしたり、笑ったり、泣いたり…。もちろん多少ハードボイルドではあるんだけどね。
誰かの人生を体験する感じの映画としては、とても悲しい人生を体験することになるので、見終わった後結構へこむと思う。
あと、変な例えだけど、妖怪人間ベムもこんな感じだよね。「おいら、怪しいもんじゃないよ」って言っても、誰も信じてくれないし、どこまで行っても、ヤクザはヤクザ、妖怪は妖怪みたいなね。
実力派俳優がいっぱい出ているので、安定感のある演技で物語にグッと引き込むところも映画として素晴らしかったなと思う。
