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ヤクザと家族 The Familyのモモモのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.8
成り行きでヤクザになった男の斜陽を描くヤクザ映画。
公開当時から気になってはいたのだが。
バランスが取れている様に思えたが、三幕からの描き方や主題がどうしても「美化」にしか思えず冷めてしまったのが正直な感想だ。
ヤクザと癒着していて、更に人格的にも尊敬出来ない挑発的な言動を取る警察官と言うキャラクター像に惑わされてしまうが「そもそもお前らヤクザに人権なんてねーよ」は事実だろう。
シャブは売らねえ!なんて言ってもねぇ。それ以外の外道な事はやってる訳でしょう?
行間を想像して貰うために敢えて描いていないのか、そもそも監督に興味がないのか。
どうしようも無い生き方「しか選べなかった」のは描かれているけど、だからと言って元チンピラ元ヤクザが「普通に生きたい」と言っても。美味しい思いはしていた訳でしょう?
そんな雑音のせいで余り没入は出来なかった。
「ヤクザとしての悪行」と同じ様に「普通の家庭の幸せ」も描く尺が短過ぎないだろうか。それが良いものだったのか、主人公にとってどれだけの救いがあったのか、がまるで描かれていない点も残念だ。想像の余地を残す為と言われたらそれまでだが。
ここまで不満タラタラだが、冒頭に1カット演出、画角変更なんかは大好きだし、「密漁」「シャブ」「病床」の「時代にも抗争にも負けた敗北者達の末路」を描く一連のシークエンスは最高でしたね。
市原隼人が想定以上に「二番手」が様になっていた。
「次世代には残さない。膿はここで全部出す」な締め方に込められあ優しい眼差しも心地よい。
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