こつぶライダー

ヤクザと家族 The Familyのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.2
義理人情だの家族だの、ヤクザという属性が時代の流れとともに衰退していく様子を一人の男を中心に描いたヒューマン作品。

こういった俗に"反社"の役をやらせたら右に出る者はいないと思うくらいに似合ってしまう綾野剛兄さん。
今作では始まりのチンピラ若造から、ヤクザに入って偉くなる様だったり、服役を終えて帰ってきたら組の勢力が弱まり親父が瀕死になって自分も落ちていったりと、同一人物ながら違う時代における色んな顔を見せてくれて楽しかったです。

始まりは、徐々にヤクザに染まっていって、抗争の中で大事な者を失っては成長していく姿を描くのかと思いきや、今の時代では生きにくくなったヤクザの姿におさまっていくから、因果報応な形で締めてくれた。

ようやく見つけた家族も、自分では幸せを掴めず、信じていた親父も失い、あのラストは、なんとも言えなかったね。

シャブで父親を失った彼は、自分を助けてくれたヤクザの親父を本当の父親のようにしたい続ける。
酷くシャブを嫌う背景がありながらも、組が厳しくなりシャブで儲けを繋いでいたことを知って1度はぶつかるのだが、兄貴や組のために冷静に受け止める辺りとか良かったなあ。
若頭だった父親を失った翼を自分の姿に重ねて、必死に守った姿はかっこ良かった。

色んな人が絡み合いながら、誰が悪いとか誰が良かったではなく、やはり父が子を想う気持ちと、子が親を思う気持ちを描いたのかな。
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