よっちゃん

ブリキの太鼓 ディレクターズカット版のよっちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
オスカル少年の視線の高さで繰り広げられる性的なやりとりの、軽薄な描かれ方が見事だった。恋愛至上主義に疲れている時に見て、とても沁みた。その嫌悪感から、冷静かつ無邪気に、成長することをやめた彼が、小さな身体のまま異性に興味を抱いていく過程はコミカルなタッチだけれどいかがわしくて、美化されていないことに癒された。たっぷり愛情を注いでくれた両親のことも、常にどこか白けた視線で見つめている。そして、肌身離さずブリキの太鼓に執着するオスカルの様子を見ていると、当たり前だけれど、家族愛や異性愛よりもっと単純に面白いと思うものがあっていいんだよなと思った。
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