ブリキの太鼓 ディレクターズカット版の作品情報・感想・評価・動画配信

「ブリキの太鼓 ディレクターズカット版」に投稿された感想・評価

こべWa

こべWaの感想・評価

4.1
スコアの付け方がわからないけれど、時代の「全体」を捉えようとしたグラスの原作に忠実なのは良い!
ラジオ日本が ラジオ関東だった頃、おすぎを含めた3人の映画評論家の番組で、この作品をベタ褒めしていた。中でも一人の男は 興奮して「ブリキのていこ」と どもり初めて、番組内で大いに盛り上がった☕
●原作ギュンター・グラスを忠実に再現したらしく、全体のグロテスクさと 徹底した没入感は流石に凄い。
●ダーフィット・ベンネント演じるオスカー少年は、圧倒的な演技力で 観客をポーランドのダンツィヒ(グダニスク)の街に引き込み、ドイツ人でもポーランド人でもない、カシュバイ人として、時代を一緒の目線で駆け抜けていく☘️
●出てくる女性は、 皆 バニラの香りがしたり、シナモンの香りがしたり、 臭覚を感じさせてくれる。こんなに生き生きとした生活感ある女性は類を見ない☕

審査員から評判がいいと言っても、俗物的な笑えるシーンはある。
戦争で生き残ったアルフレートと、16歳のませた女中の絡むシーン
「もうすぐだわ」「きをつけてね」
男「わかってる」
なぜかオスカル少年乱入(ウソだろ(笑)
「やめて!」
なんとオスカル少年、あろうことかアルフレートの後ろに張り付き、興奮したように太鼓をたたく(爆)
アルフレート「何をする」
---ここで 強制インターミッション---
「何よ 気をつけてと 言ったでしょ」
アルフレート「もう ちょっと とも 言ったぞ」
「もうすぐだから 気をつけての意味よ」

オスカルなに かんがえてんだ(爆)
2時間強はいくらなんでも長過ぎ!私にはあまり刺さらなかった。原作に忠実に描いているけれど、見せ場が多いゆえ全体的に弱まっている気がする。しかし4枚重ねのスカートの中に追われている男を匿う、みたいなディテールは好きだ。
全編を通し、大人の世界の醜さを3歳の頃に知り、自ら成長することをやめた主人公による大人への嫌悪(主に性行為に対して)を込めた眼差しが向けられる。ブリキの太鼓を取り上げられると叫び声を上げ、ガラスを粉々に割るという彼の特技も印象に残った。
一番好きなシーンは、主人公が党大会のパレードでブリキの太鼓を叩き、演奏する曲をワルツへと変えてしまう場面。あとは主人公があわソーダのような粉末のお菓子を異性の肌にさらさらのせて、それを舐めとることで性に目覚める場面があるのだが、エロティックで良かった。
ナチに対するポーランドの態度を表しているらしい。ブリキの太鼓はヒトラーユーゲントを表してるらしい。
m

mの感想・評価

3.5
こんな強烈な映画、一生忘れないはずだけど、昔オリジナル版を観たのに内容をまったく覚えていなかった。衝撃をやり過ごすために忘却スイッチが入ったのかも。

2021年正月休み最終日、4年以上も録画したままだったディレクターズカット版を観る。どこがオリジナルと違うのか、もはやわからない。不穏でムカムカするような感じが長く続く。

公開時は物議をかもしたらしい。そりゃそうだろう…。深い話ではあるけど、「戦場のピアニスト」とか「シンドラーのリスト」と同じように誰にでもお勧めはできかねる。スコアをどうつけたらいいかも分からない。

*なんとこれが200Marks 記念の映画になった…
これぞ、正真正銘の名作。
シュレンドルフ監督の凄まじい演出力やその他、技術力等、そして驚異の主演子役ダーヴィット・ベネント君の一切文句のない完璧な演技力によって、人々の心に何かしらの余韻は必ず残してくれる、生涯にたったひとつの非常に美しい最高傑作となった。
これが、正真正銘の ″不朽の名作″ だ。

そして是非とも、このシュレンドルフ監督こだわりのディレクターズ・カット版で観てほしい。必ず、一生に一度の美しい映画体験になるはずだ。
劇場版はだいぶ前に観たきりで細かいこと忘れててどこが追加になったのかはよくわからなかった。

3歳で成長を止めることにしたオスカー少年の目を通して描かれる第二次対戦前~戦後。

この成長をコントロールできるって時点でファンタジーなのかと思ったが原作の情報読んだらそうではないらしい(精神病院に入れられたオスカーが語る物語らしい)

子供の無邪気さとかはあまり感じず、叫び声でガラスを破壊するとかどこか悪魔的にすら感じてしまう。
見た目可愛く小柄な男の子だけど中身だけは成長しているし。

まわりの大人たちをじっと見つめるオスカーの目は「なにが起こっているかわからない」のではなくて「こんな大人なら自分はなりたくない」なんだろう。

どこか冷めた目で、子供の風貌を時に利用しながら困難な状況を生きていく姿はなんとも複雑な気持ちになる。

戦争映画というよりも、おろかな大人たちを観察し反面教師として見ている子の映画のようだった。
イマジカBS
ディレクターズカット版
劇場版より上映時間が長いが、こちらを初見。
ねぎお

ねぎおの感想・評価

4.7
1979年の作品ですけど、フォルカー・シュレンドルフ監督が現代の若者が観ることを想定して2008年にリライトしたそうですよ!
是非観て欲しいなあ。(経緯は以下)

****

パルムドールを「地獄の黙示録」と分けた今作のディレクターズカット版です。ただ監督はオリジナル版もディレクターズカットだからなあと。
通常版でも142分あるんですが、さらに21分長い。
どんなシーンが増えているかと言うと、
①ラスプーチンの本のくだり:オスカルの独白はとても重要!
②ダンツィヒ郵便局戦闘や、ヒトラーパリに来る、ノルマンディなどの当時のニュース映像:ポイントポイントに入るのですが、戦争を知らない人々のリアリティを助ける重要な映像
③特に後半はかなりシーンを入れ替えたり挟み込んだり

****

そしてすごいのは、今回初お目見えのシーンは、音声ファイルがなくなっていて、30年経過した本人や実の娘が吹き替えたりしたんですって!
オスカルは2008年当時で41歳。さすがに声変わりを経ていてボイスチェンジャー使ったそうですね。

実は当初165分くらいだったものを、UAが短くしろと命令。泣く泣くそうしたけれど、パルムドール取ってアカデミー取ってで、監督が交渉したそうですよ。しかしUAはこの映画が不完全だったと知られたくないと監督にも一筆書かせたんですって。
で、今回古いフィルムを廃棄するタイミングで「処分しちゃっていいですか?」と連絡があったそう。そして一念発起リライトしたと。

いやー、オリジナルの方がファンタジー感が強く、後味もそんな感じ。こっちはだいぶオスカルの正気感が感じられると言うかね。
好みはこちらですねー。

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