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太陽がいっぱいのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
4.5
言わずと知れたアランドロン主演ルネ・クレマン監督の名作です。
"当時若かったみなさん"にとっては世界的なイケメンとして知れているアラン・ドロンですが、今作はそんな彼が思いっきりの悪役なのが良いですよねー。

「plein soleil」
「お天道様(おてんとさま)は全部お見通しさ」って意味で通じるフランス語のようです。
まあ「太陽がいっぱい」って洒落てていいと思いますけどね!

****
旧作だし名作なのである程度ネタバレしますね。
どうしても避けたい方は観てからお読みください。


リメイク「リプリー」(マット・デイモン主演)の方が原作に忠実な様子。原作者もこちらの作品「太陽がいっぱい」の脚色を気に入っていないんだなあ。
・・「シャイニング」でねー、まあ別の作品なんですけどね、「原作者が気に入らないと言った時のほうが映画としては秀逸な出来になる」という例を見ちゃってるんでねえ。

で、やっぱりわしはこっちが好きww

文字なり舞台なり、原作ってその枠組みでの面白さなわけで、映画は別だと思うんですよね。
まあね、例えばマンガの実写化などで元々のファンのイメージをぶち壊してしまう側面もあるのでね、翻案って難しいわけですけど・・。

ルネ・クレマン監督他、スタッフが「悪がまかり通る筋は良くない」と思ったからラストをそうしたのかは知らない。
でもね、通るも通らないも、手塚治虫先生「火の鳥」を読めば、そんなの長い目で見れば因果応報の一部なわけで・・ふるっ!
いや、このストーリーの良し悪しって言うよりね、このトム・リプリーって人物の怪しさ、心の奥からの欲望羨望、執着、衝動みたいなものにドキドキして2時間過ごさせてもらったわけです。「リプリー」ほどその辺の説明や、ゲイ性の描写がなくてシンプルだと思います。
特にこのゲイであるって点。
淀川さんは「太陽がいっぱい」を初のゲイムービーって言ったのかな?よくまあこれを観てトムがゲイだって見抜いたよなーという感想なんですが、「真夜中のカーボーイ」でもまたダスティン・ホフマンがゲイとは思わなかったわー。
で、「太陽がいっぱい」はこの要素が薄くて良かったと思うわけです。なぜなら、トムのマージュに対する気持ちや発言とのややこしさを生まないから。まあ「リプリー」観ればそのあたりの「??」感はわかってもらえると思います。