HAYATO

海の上のピアニスト イタリア完全版のHAYATOのレビュー・感想・評価

4.2
2024年50本目
『ニュー・シネマ・パラダイス』の名匠・ジュゼッペ・トルナトーレ監督作
豪華客船で生まれ育ち一度も船を降りなかったピアニストの生涯を描いた『海の上のピアニスト』の完全版
ジュゼッペ・トルナトーレ監督にとって初の英語作品
インターナショナル版ではカットされた40分近い未公開シーンなどを含み、タイトルやクレジットがイタリア語で表記されている。
原作は、アレッサンドロ・バリッコの独白劇『ノヴェチェント』。
主演は『レザボア・ドッグス』のティム・ロスが務め、共演は『アイデンティティー』のプルイット・テイラー・ビンス、『ザ・ファイブ・ブラッズ』のメラニー・ティエリーなど。
物語は、かつて主人公・1900と共に船で音楽を奏でていたトランペット吹きのマックスによる回想形式。
『ニュー・シネマ・パラダイス』でジュゼッペ・トルナトーレ監督と組んだ映画音楽界の巨匠・エンニオ・モリコーネの美しい音楽が全編を包み込む。
ピアノの演奏シーンはどれもこれも圧巻の素晴らしさで、ジャズピアニストのジェリー・ロール・モートンとの対決シーンの熱気は凄まじいものだった。
「船」は人々にとっては移動手段に過ぎないけれど、1900にとってはそれが自分の世界の全て。
美しい少女への恋心から一度は陸に降りようとしたものの、結局は思いとどまった理由を明かす1900の言葉には重みがあり、船以外の場所で生きる方法を見つけられなかった苦しみと悲しみが伝わってきた。
友人のマックスは、1900に船を降りるように必死に説得する一方で、彼が絶対に降りないことを誰よりも理解していたんだろうなと思う。
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