すずや

あのこは貴族のすずやのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
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すごい…すごい好きな映画だった…

生まれた場所も境遇も違う女の子2人が、ひょんなことから出会い変わっていく映画。
2人は互いに、自分にないものを相手に見て、「あのこは貴族だ」って思う。自分よりもずっと恵まれてるんだな、羨ましいな、って思う。でも、"女らしさはかくあるべき"って呪いは2人が程度の差こそあれ持ってて、自分の周りがかくあるべきと言ってくるそこから抜け出せれば楽になれる、って、お互いがお互いの生き様の中で示してる。
自分の知っている世界を出ることは、すごく恐ろしい。それまで自分が当たり前と思い、そうすれば幸せになれると思っていたことが、実は違った、と露呈するようなこともまた起き得るから。それを認めるのは凄く怖いことだけど、でも、今いる場所がどうあれ、自分がこうありたい、と思ったことを話せる、そんな場所があることが何より楽しいことだよね、って示し方がすごく刺さった。

ここ最近色々な映画を見て感じてた、「結婚によって女性の価値が構築される」っていうようなこの日本社会の風潮を軽く蹴り飛ばすようなその作風がすごく好き。それ以外でも、自分が、楽しいな、最悪だな、色々思うことはあって、自分がこうしたいと思うことに付き合ってくれる人がいればもっと素敵、その優しさに心が救われる気持ちがした。

2人の世界は変わらないかもしれないけど、少なくとも、自分の当たり前を壊されただけでも、2人にとってはすごくいい事だったんじゃないかなと、ただそう願いたい。
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