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あのこは貴族のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2
ある女性アナウンサーの『誰にでも、それぞれの地獄がある。あなたにはあなたの地獄、私には私の地獄が。』という名言がある。それを思い出した。

女性達が生きづらさを感じてる訳だけど、本作の高良健吾のキャラがワルモノとして描かれていない所が良い。何もかも所有する彼でさえ、家制度や良家というシガラミに苛まれている。彼もある種の被害者であると。
貴族にも地獄がある、と。


自転車二人乗り。北野武の傑作映画『キッズ・リターン』でラスト、親友男子二人が自転車2ケツする名シーンが印象的だったが、
25年経って本作でシスターフッドの象徴として見事に2ケツシーンが盛り込まれていて感慨深い。

トランプ政権が終焉した時期に公開され、分断を煽る言説を乗り越え、連帯を取り戻そうと我々に問いかける力を持った傑作だった。
まぁそんなに肩肘張って観るものではなく、楽しい作品。

また、リアルではなかなか知る事のできない事について知る事ができるのも映画の楽しみ。
上流階級の方々の話す内容、お正月の過ごし方とか。「皆で和服来て食事するんだ!?」とか
「リアルにお見合いってあんな感じなのか?」とか

華子たちお金持ち階級の、「更に上の家柄がいる」事が言及される時に、少年ジャンプのバトルマンガで、強敵の更に上の強キャラがいる!みたいなアガリ方を
感じて良かった。


門脇麦の死んだような目の演技(褒め言葉)、水原希子の自然な適切な演技は良かった。
が、本作でも石橋静河の素敵さに一番や魅了された! 彼女に宛書きしたかのような主体的に自由に、でも軽やかに生きるキャラクター。輝いていた。
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