対比がこれでもかというほど散りばめられており、それも押し付けがましくなくて素晴らしかった。
タクシーへの意識、幸一郎との食事場所、喫茶店(ファミレス?)とアフタヌーンティー、コーヒーと紅茶など自分が気付いてないだけでまだあった気もする。
上層と下層(中下層?)の対比これに尽きる。
ただ、どっちの階層でも何かしらの悩みを持っている。
最大の発見は上層と下層には同じような点もあるということ。それは家庭内に性別役割意識が根強いこと。上層の女性は跡取りを生むことを重視され、男の後ろについていくことを求められる。下層の女性も地方特有の旧態的母親が家事をするという構図。女性が家庭に閉じ込められる構図。この点に共通点を見出せたのは個人的最大の発見。ただ、周りの初等科上がりの女子とは違う自立した女性を目指すバイオリニストは作品に深みを出す上で良かったし、女性にとっての救いだった。
上層の人は自由を求め、下層の人は不自由ない生活ができるだけの金銭を求める。互いに憧れ合う点があるはずなのに、その憧れの世界でも悩むことがある。交わる点がないように見える2人に交わる点がある。その描かれ方が非常に綺麗だった。
個人的には通っている大学で、初等科上がりの内部生の金持ち度を感じることがよくあるからそこの描かれ方も良かった。しかも何故か内部生は美男美女が多い。謎。
原作も読みたいと思う。