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彼女が好きなものはのイケのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
4.4
ここまでジェンダーをストーリーに組み込んでいると思わなかったため期待以上の作品だった。
鑑賞前にキービジュアルを見た時は、よくある恋愛映画のように思ってしまっていた。
しかし、その思い込みは良い意味で裏切られた。

ゲイの主人公が友人や親にゲイであることを打ち明けられずに葛藤を抱えながら生活している様子は、性的マイノリティが現代社会でどのような苦しみを感じながら生活しているかをまざまざと感じさせた。
特にゲイであることが意図せずに周囲にカミングアウトされた場面は、いたたまれないという言葉で表すのは不十分であり、残酷に感じてしまった。

ただ、事件が起きてからの周囲の人の温かみからは希望を感じつつ、現代社会で最も必要とされることであると痛感した。
マイノリティ自身の問題ではなく、彼らを取り巻く周囲の人や環境の改善、理解が進まない限りは当事者が行動を起こしたところで本作のようなことが現実でもなくならないだろうと考えさせられた。
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