貧乏人の生き難さも富者の生き難さも固定観念として根付いたイメージがあるのでわざわざ映画にしても目新しさは無いだろうと思っていたんだけども。
ところが結果的にこの作品の世界に浸ることに。
都会育ちの御令嬢を演じた門脇麦をはじめとした役者の皆さんが求められている役柄をしっかり理解して挑んでおり、作品として描きたい事に対して足並みが揃っている感じなんですよね。
話し方から所作に至る演技、御家族・お友達・旦那さんとの会話の中に見え隠れする窮屈さ。どれを取っても意味のある構成に思えた。
気が合う人が一番と乗り込んだ居酒屋でのシーン、その思いとは裏腹に結局これまで生きてきた環境だったり観念から脱却するのは難しく限られた世界から抜け出せない。
意思表明をすることすら憚られる様な、敷かれたレールの上でもがき苦しみ自身の人生と向き合う女性像の表現が素晴らしかった。
