るるる

あのこは貴族のるるるのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.7
派手さは無いけれど
キャラクターの感情の細やかな表現、
それを引き立てるさりげない言葉選びや
環境だったり行動による演出が
(歩いて帰る華子、幸一郎と雨など)
非常に丁寧に作り込まれている作品。
あの場面でのあの演出には
こんなキャラクターの心情が
表現されていたのかな?なんて、
噛めば噛むほど味が出てくるから、
観賞直後以上に、数時間後、1日後と
思う事が増えている。

「ぴったりくる人が1番贅沢」
「居心地が良い。だってこの部屋全部美紀さんのものだもの。」
「どの階層で生きていても
最高と思える日もあれば泣きたくなれる日がある。1日の終わりに今日会ったことを話したいと思える人がいれば良いんじゃない」
さらっと出る言葉がキャラクターの背景を忠実に表現している言葉であるのと同時に、視聴者にちゃんと刺さる力がある。

特にベランダのシーンの「どんな階層で〜」の言葉には、
どの環境の人にも大なり小なり
制限されていると感じる
何かがきっとあって皆もがいていて、
でも実は縛られているようで
自分で自分を縛っているのかもしれない、自分の人生は自分のものだし
もっと軽やかに生きても
良いのではないかと、
見ているどんな層の人の呪縛も少し解いてくれて背中を押してくれる強いメッセージになっている気がする。
自分の心に寄り添って、
明日を自分の選択で今日よりもちょっと良い日にしたくなるような、そんな作品でした。
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