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あのこは貴族のsideBatsu2015のレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.4
とても丁寧に作られた、とてもいい映画だと思います。何度も彼女たちの関係に救われ、明るい気持ちにもなりました。
しかし、どうも喉に小骨が刺さったままなのです。

それは私が東京に住んだことがないからでしょうか。あの映画の中で、私は地方の同窓会に参加している一人です。美紀が馴染めなかった世界で、私は地元を出ることもできずに過ごしています。美紀と華子が出会えた事、それはとても良かったのだと思うけれど、2人が目を背けた人が私で、同じようにアフターヌーンティーをする人たち、華子にコンパを用意してくれる人、そこに来る男性、確かに合わないかもしれない。合わないかもしれないけれど、決して悪い人たちじゃなく、彼女たちが1歩前に進む手段として、閉ざす、という作業をしているように見えるのです。

合わないと思ってた人の一面を見て、理解しあえなくても尊重しそれぞれの道を行く「ブックスマート」のような、距離をつめてこそ見える何かを拒否しているようにも思いました。わざわざそんな事はしなくても、共鳴しあえる誰かに会って前に進んでいける、東京はその可能性がある場所なんだな、と思うと同時に、人の数も街も文化も半分、その更に半分の半分しかない所で生きていると、2人の関係をどこか冷めた目で見てしまいました。
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