一人旅

キングダム・オブ・ヘブン ディレクターズ・カットの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
リドリー・スコット監督作。

聖地エルサレムを巡る戦いに身を投じる騎士の勇姿を描いた歴史スペクタクル。

『グラディエーター』(2000)の大成功により歴史映画に目覚めたリドリー・スコットは、『ロビン・フッド』(2010)『エクソダス:神と王』(2014)と歴史大作を発表してきましたが、本作はそんな彼が2005年に監督した歴史スペクタクルです。こうして見ると、リドリー・スコットは2000→2005→2010→2014と約5年間隔で歴史映画を監督してきたことが判ります。

12世紀ボードゥアン4世治世のエルサレム王国を舞台に、イベリン卿の息子で鍛冶屋の青年バリアンが、最愛の妻の自殺をきっかけにフランスの農村から聖地エルサレムに辿り着くが、やがて聖地奪還を狙うサラディン率いるアイユーブ朝との戦いに身を投じてゆく…という歴史スペクタクル活劇で、登場人物のエピソードに脚色が施されていますが、12世紀当時のキリスト教勢力vsイスラム教勢力の熾烈な攻防を史実に基づいて活写しています。穏健派のボードゥアン4世とは対照的にイスラム軍との戦争を推奨する急進派ギー・ド・リュジニャンの陰謀や、彼の妻:シビーユ(後のエルサレム女王)と出逢い恋に落ちてゆく主人公のラブロマンス、鍛冶屋→騎士となりエルサレムの民の命を守るため奮戦する主人公の精神的成長など、194分(ディレクターズ・カット版)の長尺の中に様々なドラマを余すことなく織り交ぜています。

最大の見所はクライマックスの大攻防で、サラディン率いるイスラム軍と聖地を守り抜くため死力を尽くすエルサレム軍の激突が圧巻のスペクタクル映像で活写されます。投石器による城壁への集中攻撃、壁上の白兵戦、そして大軍を上方から俯瞰する映像が圧倒的な迫力を生んでいます。『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002)『トロイ』(2004)『レッドクリフ PartII』(2009)近年では『グレートウォール』(2016)など、追い詰められた少数が圧倒的大軍を迎え撃つシチュエーションが好みの人はきっと気に入るでしょう。

主演はオーランド・ブルームで、フランス出身のエヴァ・グリーンがミステリアスなヒロインに扮しています。そしてリーアム・ニーソン、ジェレミー・アイアンズ、デヴィッド・シューリス、ブレンダン・グリーソンらイギリス&アイルランド出身の実力派が脇を固めています。
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